議会のルール、
ふだんのことばで読み解く。
市議会がどう動くかを定めているのが「会議規則」です。難しい条文を、まちの暮らしや日々の疑問とつなげながら、できるだけ平易な言葉で整理しました。
まずは、3つだけ。
細かい条文の前に、議会の動きをいちばん大づかみに知りたい方へ。
01
議案は2段階で決まる
提出された議案は、まず委員会で細かく話し合い、そのあと本会議で全議員が表決。「2段階チェック」が基本のかたちです。
02
議員でなくても声を届けられる
紹介議員つきの請願、紹介議員なしでも出せる陳情、傍聴、専門家としての公聴会発言。入口はひとつではありません。
03
少数派が守られる仕組み
議長判断に3人以上が異議を出せば会議で諮り直し、委員会で否決された声も少数意見として残せる。多数決一辺倒ではありません。
「自分の立場」から読み始めよう
会議規則は議会の運用マニュアルですが、わたしたちの暮らしのいろいろな場面とつながっています。気になる入口から読んでみてください。
議案が決まるまでの流れ
予算、条例、計画…。提案されたアイデアが「議会の決定」になるまで、こんな8つのステップを通ります。
STEP 01
議案を出す
市長・議員・委員会が議案を提出。議員が出すときは仲間3人以上の連署が必要です。
第14条STEP 02
本会議で要点を説明
提出した側が中身を説明し、ほかの議員が質問できます。同じ議題への質問は1人2回まで。
第34・37・56条STEP 03
委員会にバトンタッチ
テーマに合わせて、常任委員会や議会運営委員会など少人数の場でじっくり議論。
第37条STEP 04
委員会でじっくり審査
説明 → 質問 → 修正案 → 討論 → 採決の順で進行。負けた意見も「少数意見」として残せます。
第98・108条STEP 05
委員長が報告
本会議に戻り、委員長が話し合いの経過と結論を報告。少数意見も同時に伝わります。
第39条STEP 06
最後の質問・討論
委員長報告へ質問が出たあと、賛成と反対が交互に意見を述べる「討論」のステップ。
第41・53条STEP 07
採決(多数決)
起立 / 投票 / 異議なし、のいずれかで決着。修正案がある場合は原案より先に採決します。
第70・76・77条STEP 08
結果を宣言・記録
議長が結果を読み上げ、会議録は永年保存。あとから誰でもさかのぼって確認できます。
第85・89条「2回ルール」と「3人ルール」
同一議題への質疑は2回まで(第56条)。議長の判断や時間制限に異議があるとき、3人以上の議員が起立すれば会議に諮ることになります(第9・18・35・57条ほか)。少数派の意見が制度的に守られている仕組みです。
議会に関われる4つの方法
議員でなくても、暮らしの中から議会に意見を届けたり、議論を直接見にいったりできる入口がいくつもあります。
① 請願
紹介議員ありで提出
請願書に趣旨・住所・署名/記名押印を記載し、紹介議員が表紙に署名。委員会で審査され、本会議で採択/不採択が決まります。
第139〜144条② 陳情
紹介議員なしでもOK
内容が請願に適合するものは、議長判断で請願と同様に処理されます。気軽に意見を届けたい場合の入口。
第145条③ 傍聴
本会議は原則公開
議事妨害や持込物のルールはありますが(第152〜158条)、傍聴は原則自由。秘密会は例外です(第48条)。
第48・151〜158条④ 公聴会・参考人
利害関係者・専門家として
議会が開く公聴会で意見を述べる「公述人」、特定案件で意見を聞かれる「参考人」として呼ばれることがあります。
第78〜84条請願 vs 陳情
請願・陳情は「平穏に」「邦文で」「署名押印」
第139条で「邦文を用いて、趣旨・提出年月日・住所を記載し、署名又は記名押印」と定められています。提出は平穏になされなければならないとも明記されています(同条第4項)。法人の場合は名称・所在地と代表者署名でOK。
数字で見る、議会のルール
条文に散らばる「数字」を集めると、議会運営の要点が浮かび上がります。
3人
異議の閾値
議長判断に対し3人以上の議員が起立すれば会議に諮る(多数の条で適用)
2回
質疑の回数制限
同一議員・同一議題の質疑は2回まで(第56条)
10:00–17:00
会議時間
議長が必要に応じて変更可能(第9条)
14週
出産の欠席期間
多胎妊娠は予定日14週前から、それ以外は6週前〜出産日後8週まで(第2・91条)
3日
懲罰動議の期限
懲罰事犯があった日から3日以内に動議提出(第160条)
10日
出席停止の上限
懲罰の出席停止は原則10日まで(第163条)
永年
会議録の保存
市議会の会議録は廃棄せず永年保存(第89条)
1/4
委員長互選の最低得票
有効投票総数の1/4以上を得票しないと当選しない(第126条)
議会が必ず決める15のこと
会議規則は、より大きな枠組みである地方自治法のもとで動いています。地方自治法 第96条第1項は「議会が必ず議決しなければならない事件」を定めており、ここに含まれるものは、市長の判断だけでは決まりません。
地方自治法 > 三郷市の条例 > 会議規則
地方自治法(国の法律)が議会の大枠を定め、三郷市の条例が具体的な数字や手続きを補い、会議規則が議会のなかでの細かい運営を決めます。会議規則の条文に「法第○条」と出てくるのは、すべて地方自治法のことです。
必ず議会で議決される15項目
予算・条例・契約・人事・損害賠償など、市政の根幹はここに含まれています。
条例の制定・改正・廃止
市のルールを作る・変える・無くすときは必ず議会で。
予算の決定
毎年度の市の使い道(一般会計・特別会計・企業会計)。
決算の認定
前年度の支出が適切だったかをチェック。
税・分担金・使用料・手数料の取り方
市民負担に関わるお金のルール変更。
一定金額以上の契約締結
三郷市の場合は工事・製造請負1.5億円以上などが該当。
財産の交換・出資・低額譲渡など
市の財産を有利/不利に動かす行為。
不動産の信託
市が持つ土地・建物を信託する重い決定。
一定規模以上の財産取得・処分
大きな土地や物品の売買・取得。
負担付きの寄附・贈与の受領
「○○に使う」と条件のついた寄附は議会承認が必要。
権利の放棄
市が持つ債権などを放棄する場合。
公の施設の長期独占利用許可
市の重要施設を長期にわたり特定の人に使わせる場合。
訴訟・和解・あっせん・調停
市が当事者となる法的トラブル全般の決定。
市の損害賠償の額
市の責任で生じた損害をいくら払うか。
公益上必要な財産の無償譲渡など
福祉・地域活性化などの目的で財産を出す場合。
その他、法律・条例で議会権限とされた事項
議員辞職の許可、議長・副議長の選挙、特別委員会の設置など。
三郷市の場合:金額・面積の基準
上の「第5号・第8号」は、各自治体が条例でいくらから議決対象にするかを決めます。三郷市の「議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」では、ざっくり次のラインで議会が必ず関わります。
工事 / 製造の請負契約
1.5億円以上
予定価格1億5,000万円以上の工事請負・製造請負は、市長の判断だけで契約できず議会の議決が必要。
物品の買入れ
2,000万円以上
大型の備品・車両・システムなど、予定価格2,000万円以上の購入が対象(参考値)。
不動産・動産の取得・処分
7,000万円以上
予定価格7,000万円以上、かつ土地は5,000㎡以上のもの(参考値)。
※ 物品・不動産の数値は同規模自治体の標準的な基準を参考に表記しています。最新の正確な金額は 三郷市例規集「議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」を必ずご確認ください。
会議規則に登場する地方自治法の条文
三郷市議会会議規則の条文は、地方自治法のあちこちに書かれた仕組みを「実際にどう運用するか」に翻訳したもの。代表的なリンクは下のとおりです。
法 第92条の2
議員の兼業禁止
議員が市と請負関係にある法人の役員を兼ねるのを禁止。会議規則 第148条で資格決定の手続きに連動。
法 第100条
百条調査権
議会が証人喚問・記録提出を命じられる強い調査権。会議規則 第104条で具体的な手続きを定める。
法 第109条
委員会の設置
常任委員会・議会運営委員会・特別委員会の根拠条文。会議規則 第105条で所管事務調査の通知方法を補足。
法 第113条
議事の定足数
議員定数の半数以上が出席しないと会議を開けない。会議規則 第13条が出席催告のやり方を定める。
法 第114条
会議の開催請求
議員から開議の請求があれば、議長は休会の日でも会議を開かなければならない(会議規則 第10条)。
法 第115条の3
議案の修正動議
所定の発議者連署で修正動議を提出できる根拠。会議規則 第17条で連署のルールを定める。
法 第127条
議員資格の決定
被選挙権の有無や兼業禁止に該当するかを議会が決定。会議規則 第148〜150条で要求書・決定書の手続き。
法 第100条第13項
議員の派遣
議会の議決により議員を視察等に派遣できる根拠。会議規則 第166条で目的・場所・期間の明記を求める。
こんなときは?
日々の暮らしで「議会に何か言いたいな」「気になるな」と思ったときの、いちばん近い道筋をまとめました。
通学路に信号がほしい。議会で取り上げてほしい。
紹介議員に相談して請願書を作るのが王道。署名押印した書面を議員経由で議長へ。委員会で審査され、本会議で採択/不採択が決まります。
紹介してくれる議員が見つからない。それでも声を届けたい。
紹介議員なしでも出せる陳情があります。中身が請願に近ければ、議長判断で請願と同じように扱われます。
気になる議題があるので議会を直接見たい。
本会議は原則傍聴できます。手荷物や私語のルールはありますが、申込みは当日でOK。秘密会のときだけ例外です。
「採決が始まった」と聞いたけれど、何が起きてるの?
議長が「異議ありませんか?」と聞き、誰も手を挙げなければそのまま可決(簡易表決)。3人以上が異議を出すと、起立や投票で表決し直します。
議員が議会で暴言を吐いたらどうなる?
事件があった日から3日以内に懲罰動議が出され、委員会で審査。戒告→陳謝→出席停止(10日まで)→除名の段階で議会が議決します。
議員が出産・育児で休めるの?
公務・病気・育児・看護・介護・配偶者の出産補助・出産はすべて欠席事由。出産は予定日の6週間前(多胎は14週間前)から出産後8週まで、まとめて欠席届を出せます。
章ごとに、ピックアップで読む
全167条のうち、知っておくと議会のニュースが格段に読みやすくなる条文を抜粋して、ふだんのことばに翻訳しました。タップで開きます。
CHAPTER 1
会議(第1〜89条)
CHAPTER 1
会議(第1〜89条)
公務・病気・育児・看護・介護・配偶者の出産補助・出産で議会を休むときは、当日の開議時刻までに議長へ届け出ます。出産は予定日の6週間前(多胎は14週間前)〜出産後8週まで、まとめて欠席届を出せます。
原則 午前10時〜午後5時。議長は必要があれば変更できますが、3人以上の議員から異議が出れば会議で諮ります。開始は号鈴で報じます。
議員が議案を出すには、原則として3人以上の賛成者と連署が必要。委員会が出すときは委員長名義で議長へ提出します。
同じ会期中は、いちど議決した事件をもう一度提出できません。「一度決めたことは蒸し返さない」という原則です。
秘密会の議決があれば、傍聴人や指定された人以外は退場。議事録は公表されず、議員も他言禁止です。
発言は議長の許可を得てから登壇するのが原則。簡易な事項のみ議席で発言できます。
議員は、市の一般事務について議長の許可を得て質問できます。期間内に文書で要旨を通告するのがルール。「一般質問」が市政全般を議論する代表的な舞台です。
議長が「異議ありませんか?」と聞いて、誰も異議を出さなければそのまま可決。3人以上の異議があれば起立や投票での表決に切り替わります。
日時、出欠、議事日程、議事の経過、記名投票の賛否などを速記法で記録。3人の議員が署名し、永年保存されます。
CHAPTER 2
委員会(第90〜138条)
CHAPTER 2
委員会(第90〜138条)
本会議が開かれている間は、委員会は同時並行で開けません。「本会議優先」が明記されています。
委員会は「提出者の説明 → 委員の質疑 → 修正案の説明 → 修正案への質疑 → 討論 → 表決」の順で進みます。
委員会で否決された意見でも、ほかに1人以上の賛成者がいれば「少数意見」として記録に残し、本会議で報告できます。少数派の声を残す仕組み。
議会が閉会していても、委員会が「もう少し審査が必要」と判断すれば、議長へ申し出て継続審査ができます。
単記無記名投票で実施。最多得票者が当選しますが、有効投票数の1/4以上を取らないと当選になりません。
CHAPTER 3
請願(第139〜145条)
CHAPTER 3
請願(第139〜145条)
邦文で、趣旨・提出年月日・住所を書き、本人が署名または記名押印。法人の場合は法人名・所在地と代表者の署名。紹介議員は表紙に署名/記名押印。
議長は、請願文書表を配布したうえで、内容にあわせた常任委員会・議会運営委員会へ付託します(不要と判断した場合は除く)。
委員会は請願を「採択すべき」または「不採択とすべき」と意見をつけて議長へ報告。採択された請願は、市長などへ送付したり、処理経過の報告を求めたりすることがあります。
議長は、内容が請願に適合する陳情書は、請願書の例で処理します。「紹介議員はいないけれど中身は請願級」という陳情も適切に扱われる仕組み。
CHAPTER 4
辞職及び資格の決定(第146〜150条)
CHAPTER 4
辞職及び資格の決定(第146〜150条)
議長は副議長へ、副議長は議長へ辞表を提出。議会へ報告したうえで、討論を用いずに会議で許否を決めます。
議員も議長へ辞表を提出。閉会中に副議長の辞職が許可された場合は、次回の議会で議長が報告します。
議員の被選挙権の有無や兼業禁止などに疑義があるとき、要求書と証拠書類を議長に出して議会で決定。決定書は当事者へ交付されます。
CHAPTER 5
規律(第151〜159条)
CHAPTER 5
規律(第151〜159条)
議員は議会の品位を重んじなければなりません。発言・行動の前提となる総則。
帽子・外套・つえ・かさは持ち込めず、議事妨害・離席・喫煙・新聞や書籍の閲読はNG(参考用は可)。
議場で資料や印刷物を配るには議長/委員長の許可が必要。許可なく演壇に登るのも禁止です。
規律に関する判断は議長が決めます。ただし必要があれば討論なしで会議に諮って決められます。
CHAPTER 6
懲罰(第160〜165条)
CHAPTER 6
懲罰(第160〜165条)
懲罰の動議は文書で、所定数の発議者が連署して議長へ。事犯があった日から3日以内に提出するのが原則です。
戒告と陳謝は、議会が決めた文面に沿って行います。「とりあえず注意」ではなく、形式が決まっています。
出席停止は10日が上限。停止期間中に会議へ出席した場合、議長は直ちに退去を命じなければなりません。
議会が懲罰を議決したら、議長は公開の議場で宣告します。透明性を担保するための規定。
CHAPTER 7-8
議員の派遣・補則(第166・167条)
CHAPTER 7-8
議員の派遣・補則(第166・167条)
議員を派遣するには議会の議決が必要。緊急時は議長の判断で決定できます。派遣の目的・場所・期間などは明確化が必須です。
この規則の解釈に疑義があるときは議長が決定。ただし議員から異議が出れば、会議で諮って決めます。
このページは、三郷市議会会議規則(昭和47年6月29日 議会規則第1号、最終改正:令和3年3月19日)を平易な言葉で整理した非公式の解説です。条文の正確な内容は必ず原文をご確認ください。