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視察レポート

三郷排水機場

毎秒200トン。
25mプールを約2秒で空にするパワーで、
三郷市を水害から守る国の基幹施設。

国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所 管理 三郷市議会議員 鈴木優作 視察

Contents

目次

地形

三郷市はなぜ水害に弱いのか

三郷市は台地に囲まれた「お盆のような窪地」に位置しています。東側を江戸川、西側を中川が流れ、その2つの河川を結ぶ三郷放水路が市の中央を縦断。さらに大場川、第二大場川、下第二大場川が流れており、河川に囲まれ、かつ真ん中にも川が通る地形です。

窪地のため降った雨が下流へ自然に流れにくく、下流の東京湾との高低差も小さいため、満潮時には東京湾から中川等を通じて河川水が逆流する特性があります。

江戸川は「天井川」

江戸川の堤防は市街地より高い「天井川」です。洪水時には川の水位が2階建て屋根ほどの高さに達します。令和元年東日本台風(台風19号)の時に実際に記録された水位です。


治水戦略

三郷市の総合治水対策 ― 3本柱

三郷市では昭和55年頃に策定された総合治水対策に基づき、3つの柱で水害対策を推進しています。

1

降った雨を「流す」

河川の拡幅、排水ポンプ場の建設・増強など。三郷排水機場がその中核施設です。

2

降った雨を「ためる」

学校の校庭をわざと水がたまる構造にして地域の浸水を防ぐ、繁多公園や公共施設の駐車場に一時貯留機能を持たせる、一定規模以上の開発行為に対し雨水貯留を義務付ける条例の運用、家庭での雨水浸透施設への補助制度など。

3

地域で「備える」

ハザードマップの確認、避難先・浸水想定の事前把握など、市民自身による備え。


施設概要

三郷排水機場とは

中川が湾曲して江戸川に最も近づく地点に、三郷放水路を掘削して中川と江戸川を接続。その接続点に設置された国の排水施設が三郷排水機場です。国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所 三郷出張所が管理しており、出張所の執務室が排水機場内に併設されています。

管理者 国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所 三郷出張所
常駐体制 平日は職員が常駐。夜間・休日は無人
排水能力 毎秒200トン(ポンプ5台合計)
揚程 最大6メートル(中川→江戸川へ押し上げ)
羽根車 直径4.6メートル、5枚羽根、毎分70回転
エンジン 重油燃料のディーゼルエンジン

建設の歴史

昭和47年 工事着手
昭和54年 毎秒100トンポンプ体制で暫定運用開始
平成8年 現在の毎秒200トンポンプ体制で本格運用開始
現在 完成から約50年が経過。継続的に点検・改修を実施

排水能力

毎秒200トンの排水パワー

200t/秒

最大排水能力

5

ポンプ台数

6m

最大揚程

4.6m

羽根車の直径

25メートルプールを約1〜2秒で空にできるパワーに相当します。中川の水位より最大6メートル高い江戸川へ、ポンプの力で水を押し上げて排水します。

エンジンの仕組み

重油を燃料とするディーゼルエンジンでポンプを駆動します。ピストンの爆発でクランクシャフトを横回転させ、歯車で縦軸回転に変換。地下にある直径4.6メートルの羽根車(5枚)が毎分70回転して水を6メートル持ち上げます。洪水時は水位を見ながら5台のポンプを1台ずつ順番に稼働させます。


3つの役割

治水だけじゃない ― 排水機場の3つの役割

1

中川の洪水調整(治水)

三郷水門を開けて中川の洪水を三郷放水路に取り込み、ポンプの力で江戸川に排水します。中川・綾瀬川流域の氾濫を抑える中核施設です。洪水時の稼働は年間2〜3回程度(近年は令和5年度1回、令和6年度1回、令和7年度は0回)。

2

都市用水の供給(利水)

江戸川は三郷浄水場・金町浄水場の取水源です。渇水時には利根川上流ダム群からの放流や利根大堰経由の送水でも足りない場合、中川の水を江戸川に送って水道用水を確保します。令和7年度は8〜9月に延べ7日間稼働し、東京ドーム約2杯分の水を供給しました。ただし中川は潮の影響で塩分濃度が高い時(200ppm以上)は送水できないという制約があります。

3

中川の水質浄化(過去)

かつては江戸川の水を中川に送って水質を改善していましたが、中川が環境基準をクリアしたため約20年前に終了。現在は実施していません。


運用体制

洪水時はどう動くのか

操作開始の基準

中川の水位が定められた操作水位に達した時点で稼働開始。操作水位到達の見込み1時間前には職員と操作委託会社が現地集合し、点検を実施します。

操作方法

パソコン1台でポンプの稼働/停止、水門の開閉を操作可能。リアルタイムモニターで三郷水門・三郷放水路・中川・江戸川の水位・状況を監視します。

三郷水門の開閉に30分

三郷水門の開門速度は1分間に約30センチ。全開には約30分かかるため、ポンプ稼働前に事前に全開にしておく必要があります。

人員体制

平常時 職員4名(うち洪水対応可能は2名)
洪水時 2名交代制 + 江戸川河川事務所(野田)から応援派遣
操作委託会社 5〜6名が常駐して監視・運転を担当
連続稼働時間 1回の洪水で平均約72時間(3日間)。職員はほぼ不眠で常駐

日常の監視と点検

大潮の満潮時は夜間も水位監視を継続。降雨時は事前集合を徹底し、「不操作(動かすべき時に動かせないこと)は絶対にあってはならない」という方針で緊張感を持って運用しています。

台風シーズン(6月〜10月)は毎月点検、オフシーズン(11月〜5月)は2ヶ月に1回。実際にポンプを稼働させて確認しますが、三郷放水路の水がなくなるため1台ずつしか回せません。


事故と対策

令和5年6月の停止事故 ― 何が起き、どう対策したか

令和5年6月の台風時、中川が過去最大級の雨量を記録。5台全台を稼働させましたが、エンジン冷却用の河川水(中川・放水路の水)をろ過するフィルターが洪水のゴミで詰まり、安全装置が作動してエンジンが停止する事故が発生しました。

対策完了済み

河川水による冷却から水道水による冷却に切り替え、ゴミ詰まりによる停止リスクを根本的に解消しました。


課題

洪水時のゴミ問題

洪水時には中川上流から草、プラスチック、タイヤなどが大量に流れてきます。三郷放水路に取り込んだゴミはポンプ手前の除塵機でかき上げ、ベルトコンベアでプールに排出。24時間体制で除塵作業を行わないと、すぐにプールが満杯になります。


構造

大場川と三郷放水路の関係

大場川は三郷放水路と見た目にはつながっているように見えますが、実際には三郷放水路の地下をくぐる「伏越(ふせこし)」構造になっており、直接合流していません。

大場川の洪水時には水門を開けて三郷放水路に取り込む運用も可能ですが、大場川上流・下流排水機場の増強により近年は実施に至っていません。


見学

見学・公開情報

小学校の社会科見学を受け入れており、令和6年度は信和小学校・早稲田小学校・八木郷小学校が見学しました。見学時には代表児童が操作席に座り、三郷水門の操作体験も実施しています。

一般の方の見学も予約制で受け付けています。三郷市を水害から守る仕組みを、ぜひ現地で体感してみてください。

三郷市の治水について
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一緒に安全・安心な三郷を作りましょう。